歌詞考察|千葉雄喜「幸せってなに?」死生観と現代社会を読み解く

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千葉雄喜(ちば ゆうき) の新曲「幸せってなに?」は10月13日よりカンテレ・フジテレビ系で放送される草彅剛主演ドラマ「終幕のロンド ―もう二度と、会えないあなたに―」の主題歌となっています。

この記事では「千葉雄喜(ちば ゆうき) 」の「幸せってなに?」の歌詞の意味について考察と歌詞に含まれるワードについての豆知識を書いています!

気軽に楽しみながら豆知識を増やしていきましょう〜!

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なんだかんだうまく行ってるはず なのに
まだまだ全く 満たされない
なんかいい事 見つかっても 1秒後に
嬉しく なくなってく
生きたい人と 変わってあげたい
いつも死にたいと思ってた 生き地獄みたい

幸せってなに
五体満足 なのに
死んで楽に 死んで楽に
なれるのかな
誰か教えて ください

大事な人を 悲しませたくない
いつも生きたいと思ってた
頑張ってる 毎日

幸せってなに
五体満足 なのに
生きて横に 生きて横に
いれるのかな
誰か教えて ください

幸せってなに
五体満足 なのに
死んで横に 死んで横に
いれるのかな
誰か教えて ください

それでは歌詞考察と豆知識を合わせて書いていきます!

幸福感がすぐに消える心理の正体

歌詞の冒頭に登場する

「なんだかんだうまく行ってるはず なのに まだまだ全く 満たされない」
「なんかいい事 見つかっても 1秒後に 嬉しく なくなってく」


というフレーズは、現代の若者が抱える“満たされなさ”を象徴しています。

これは単なる気分の浮き沈みではなく、心理学的にも「ヘドニック・トレッドミル(快楽適応)」と呼ばれる現象です。
人は良いことが起きても、その喜びにはすぐに慣れてしまい、次の刺激を求めるという性質があります。

豆知識専門家
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「ヘドニック・トレッドミル」という言葉は1970年代に心理学者ブリックマンとキャンベルによって提唱されました。
“トレッドミル(走るための器具)”のように、人間は幸福を追い続けても同じ場所にとどまっている、という比喩が語源です。
どれだけ条件が良くなっても「もっと」を求める構造的な性質があるのです。

つまり、この歌詞は個人の弱さではなく、人間が本来持つ“幸福に慣れてしまう脳”を的確に描写しているといえます。

身体と心のギャップに潜む思想的背景

サビで繰り返される印象的なフレーズ

「幸せってなに 五体満足 なのに」

この一文は、日本人の死生観や幸福観に深く根ざした表現です。

「五体満足」とは、もともと仏教に由来する言葉で、「頭・両手・両足」の5つがそろっていることを意味します。
かつては“五体満足=生きているだけでありがたい”とされ、特に戦前・戦後の日本社会では、生き延びたこと自体が幸福の基準でした。

豆知識専門家
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「五体満足」は仏教の経典『涅槃経』などでも登場する言葉です。
本来は「五体投地」という礼拝行為(頭と両手両足を地に付けて礼拝すること)から派生しました。
戦国時代には「五体満足で帰還すること」が戦士たちの切実な願いでもありました。

しかし、現代では「五体満足=幸せ」という価値観は薄れつつあります。
身体が健康でも、心が満たされない。
幸福の基準が“外側の条件”から“内側の感覚”へとシフトした現代社会を、この一節は静かに突き刺しています。

日本語の「死」と「横になる」に秘められた深層心理

歌詞の後半で繰り返される

「死んで楽に 死んで楽に なれるのかな」
「生きて横に 生きて横に いれるのかな」

というフレーズは、言葉の選び方が非常に独特です。

注目すべきは「横になる」という言い回しです。
日本語では「亡くなる」ことを婉曲的に「横になる」と表現することがあります。
これは死を“眠り”と結びつける日本人特有の死生観に由来します。

豆知識専門家
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古語で「臥す(ふす)」という言葉があります。
これは「横になる・寝る」という意味と、「亡くなる・倒れる」という意味の両方を持っていました。
平安文学でも「臥す」が病気や死を暗示する表現として頻出します。

つまり「横になる」という言葉には、身体を休める日常の行為と、人生の終焉という二重の意味が重ねられているのです。

この歌詞の「死んで横に」という表現は、単なる死の願望ではなく、“楽になりたい”という休息への希求と、“生きている状態ではその安らぎが得られない”という切実な矛盾を象徴しているといえるでしょう。

この曲全体を通して描かれているのは、物質的にも健康的にも「恵まれている」はずなのに、心が満たされないという現代人の姿です。
タイトルの「幸せってなに?」は、答えを求める問いかけというより、むしろ“誰も明確な答えを持っていない”という時代の空気そのものを映しています。

仏教的な「五体満足」、心理学的な「快楽適応」、そして古語の「横になる」。
この3つの視点を通して見えてくるのは、幸福とは外側にあるものではなく、内側の「納得」と「安らぎ」にかかっているというメッセージです。

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