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十明(とあか)の新曲「GRAY(グレー)」は10月6日から始まる月9ドラマ枠『絶対零度~情報犯罪緊急捜査~(シーズン5)』の主題歌となっています。
この記事では「十明(とあか)」の「GRAY(グレー)」の歌詞の意味についての考察と歌詞に含まれるワードについての豆知識を書いています!
気軽に楽しみながら豆知識を増やしていきましょう〜!
十明(とあか) GRAY(グレー) 歌詞
暗い部屋
閉ざされたガラスの奥
見えぬところで
脈打つ孤独と侵食
たしかなものなど
何一つないと
塞いだ世界の奥で
今きこえる
この叫びの正体を
ただ探している
「信じたい」と願いながら
誰かが
凍えてしまわぬように
果てしなく
灰色に重く沈む
翳りの合間で
揺れている微かな光
抱え込んだ身体に
受け取ったものだけは
奪われることはないから
今感じる
たしかに指先に触れた
ただ手を伸ばす
「愛したい」と祈りながら
誰かがこの手を取るまで
絡み合う全てを
解くことなどできない
それでも掴んだ
手だけは決して離さない
だから
今きこえる
強く強く強く
この世界は
闇そのものではない
と答えた声はここに
十明(とあか) GRAY(グレー) 歌詞考察と豆知識
それでは歌詞考察と豆知識を合わせて書いていきます!
閉ざされた世界と“声”のモチーフ
冒頭の
「暗い部屋
閉ざされたガラスの奥
見えぬところで
脈打つ孤独と侵食」
という一節は、この曲の世界観を決定づける非常に象徴的なフレーズです。
閉ざされた空間で脈打つ「孤独」は、目に見えない情報空間=デジタルの“奥”を連想させます。
ドラマ『絶対零度』のテーマである「情報犯罪」とも強く結びついています。
「今きこえる/この叫びの正体を/ただ探している」という歌詞は、見えない場所から届く“叫び”=SOSを探し出す捜査チームの姿と重なりますが、同時に心の奥に潜む「自分自身の声」にも聞こえます。
これは“外”の事件と“内”の葛藤を二重に描いている構造です。

「叫び」という言葉は日本語で「心の声」と「他者への訴え」の両方を意味します。
古語では「さけぶ」は「神や自然に向かって声を発する」宗教的行為を指すこともありました。
例えば『万葉集』では、恋心や神への祈りを「叫ぶ」と表現する歌があります。
この曲でも、叫びは単なる悲鳴ではなく、“存在証明”や“祈り”のニュアンスを帯びているのです。
「GRAY」に込められた“曖昧さ”と“希望”
サビ部分の
「果てしなく
灰色に重く沈む
翳りの合間で
揺れている微かな光」
は、この曲のタイトル「GRAY(灰色)」の意味を読み解く上で非常に重要な箇所です。
灰色とは、白と黒の間にある曖昧な色。完全な闇でも完全な光でもない、中間のグラデーションです。
これは、善と悪・正義と犯罪といった二項対立では割り切れない現代社会の「グレーゾーン」を象徴しています。
情報犯罪の裏には、被害者と加害者の境界が曖昧なケースが多く、登場人物たちもまた、正義と罪のあいだで揺れ動いています。

「灰色」は色彩心理学では「中立」「沈黙」「保留」の象徴とされます。
ヨーロッパの文化では修道士の法衣に灰色が使われ、世俗と聖の中間に立つ色とされてきました。
一方、日本では「灰色」という語は明治以降に普及した比較的新しい表現で、江戸時代までは「鼠色(ねずみいろ)」と呼ばれていました。
つまり、GRAYは西洋的な象徴性と近代日本の感覚が交錯する言葉なのです。
この「翳りの合間で揺れている光」は、ドラマで描かれる希望の微光──たとえ曖昧な灰色の世界でも、確かに存在する「人を信じたい気持ち」を象徴しています。
愛と信頼の“物理的な接触”が持つ力
終盤の
「絡み合う全てを
解くことなどできない
それでも掴んだ
手だけは決して離さない」
というフレーズは、この歌の感情の頂点とも言える部分です。
情報の網のように絡み合う社会で、すべてを解決することは不可能。
しかし、それでも“手を離さない”という行為が描かれています。

手を握る・繋ぐという行為には、古代から特別な意味があります。
ギリシャ語で「右手を差し伸べる」という言葉(dexiosis)は、契約や友情の象徴として墓碑にも刻まれてきました。
また日本でも「契りを交わす」という表現は、もともと手を結ぶ所作から来ています。
つまり、“手を離さない”というのは、言葉を超えた強固な絆や信頼の証なのです。
この部分は、ドラマの登場人物たちが互いを信じて支え合う姿とも重なりますし、歌詞の「愛したい」と祈る心の延長線上にある“行動としての信頼”を表しています。
声(内面)→光(希望)→手(行動)という流れで、物語が内的世界から外的世界へと広がっていく構成になっているのも見事です。
十明(とあか) GRAY(グレー) 歌詞考察と豆知識 まとめ
『GRAY』は、白と黒のどちらかに振り切るのではなく、灰色という「中間の世界」で、それでも誰かを信じ、手を取り合う力を描いた楽曲です。
曖昧さは決して悪ではなく、その曖昧さの中にこそ“本当の声”や“微かな光”が潜んでいる──そんな現代的なメッセージが込められています。
ドラマ『絶対零度』の世界観と呼応しながらも、普遍的な人間の心のあり方を描き出すこの楽曲は、まさに「闇そのものではない」と答える声そのものです。
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